心癒す日本の原風景、大山千枚田

当館から鴨川方面へ車で約25分。
民家や田園が広がる細い山道の先に現れる「大山千枚田」は
東京から一番近い棚田の里として知られ、
「日本の棚田百選」に選ばれている景勝地です。

標高90~150mの3.2ヘクタール程の急傾斜地に、
東西約600mに渡って階段状に広がる375枚の棚田は今なお現役で
日本で唯一、自然の恵みと共生する
雨水のみで耕作を行なっている“天水田”として有名です。

田植えが行われるGW前には水田に水が張られ、
幾重にも重なる水鏡に朝日や空が映り込む美しい景色が楽しめます。

6~7月の青々とした姿や、
風になびく稲刈り前の黄金色の風景など
季節や時間帯でも異なる情緒あふれる絶景は、
まさに昔ばなしの世界そのもの。
古き良き日本の原風景を感じさせてくれます。

10~1月にかけては棚田全体が約3000本もの松明と
約1万本ものLEDで装飾される「棚田の夜祭り」も開催され、
幻想的な景色をカメラに収めようと、夜も多くの人が訪れます。

余談ですが、郷愁を誘うこの景色は、
大人気アニメ「エヴァンゲリオン」劇場版シリーズ(予告編)で
崩壊した世界で生き延びた人類が暮らす第3村の農作業シーンのモデルとして
起用されたことでも話題となりました。

棚田では人々の営みが育んできた、貴重なこの文化的景観を
後世に残そうと、田んぼオーナー制度を起用し、
毎年、希望者による手作業での田植えや稲刈り、
収穫米による甘酒や酒づくりなど、さまざまな体験プログラムを実施しています。

すぐ近くには古民家レストラン(土日営業)もあり、
棚田米による素朴なおにぎり定食や米麺メニューも楽しめます。

現地で実際に景色を目の前にすると、
そのスケールや安らかさに心が和みます。
海だけにとどまらない南房総の里山の美しさを
規制も緩和されたこの春、ちょっとだけ足を延ばして
ぜひ、楽しんでいただけたら何よりです。

 

▽NPO法人 大山千枚田保存会
https://senmaida.com/

▽大山千枚田 2022フォトコンテスト入賞作品
https://www.senmaida.com/%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%88%e3%82%b3%e3%83%b3%e3%83%86%e3%82%b9%e3%83%882021/